その2「魚を釣る」について
たかが釣りに「なんで宇宙がでてくるの?」と考える方もおられると思いますが、「魚が釣れた」というのは、たまたま釣れたとか、偶然釣れたとということですが、「魚を釣る」という行為は、その魚の生態適水温、海域、季節等あらゆることを特定できなければいけません。その上、釣具が重要です。
例えば、職魚者さん達は、お月様の旧暦を使いこなし、多くの知識と経験で「魚を取る」ということを職業とされています。トローリングは防波堤の上で魚が来るのを待つ釣りではありません。目的の魚の居場所を特定して攻めていく釣りです。いわばハンティングです。だからこそ、自然界の摂理や天候を詳しく知る必要があります。自然界での安全を確認しながら行かないと命まで失いかねません。
さて、日本の南岸を西から東へ流れる暖流は黒潮と呼ばれます。黒潮はところによると幅40マイル、流速は2ノット~10ノットにも達するもので、水温は17℃~30℃にまで変化します。黒潮は遠目で見ると黒く、そばで見ると美しいインクブルーです。ハワイ諸島を流れる暖流も黒潮の延長線上の同じ潮です。だから同じ魚達が居ます。
江戸時代は黒潮のことを黒逆川とか桔梗水と呼ばれていました。江戸時代は、この黒潮にのって荒れた冬の海を紀伊国屋文左衛門がみかんを運んだことは有名です。
又、この黒潮は年々によって蛇行します。例えば紀伊半島に接岸する年もあれば、大きく大蛇行をして離れる年もあります。土佐のジョン万次郎が漂流して沖ノ鳥島に流れ着いた年は黒潮の大蛇行があった年で、平年は黒潮本流は沖ノ鳥島付近を流れることはありません。
黒潮が接岸するか、又離れるかで漁業者もレジャーボートの方々も一喜一憂するのです。
それは黒潮の本流の中には魚はいませんが、その流れの両側の側沿水には多くの流木や流れ藻等が有ります。
この流れ藻こそが雑魚が育つ住家であり餌場なのです。トローリングの対象魚は、そのほとんどが回遊魚であり、フィッシュイーター(魚を喰う魚)です。
黒潮のその流れは海の中の山(海嶺)や島々に当たり、海底の栄養塩等が海面に押し上げられ潮目を造ります。
その潮目に太陽の光が当たり光合成が行われ、植物性のプランクトンが沸き、それを動物性プランクトンが食べ、それを雑魚が食べ、その雑魚をより大きな魚が食べて食物連鎖が起こるのです。
回遊魚達は多量の産卵をするのですが、そのほとんどが餌となります。成魚になるのは一握りの魚です。カレラハ50cmぐらいまでは、様々な種類の魚で同じ大きさのものが一緒に行動します。
それは食べられない為にです。
そして、その流れ藻の中には、ありとあらゆる南拾種類もの魚の雑魚が棲んでいます。アジ、サバ、イサキ、様々な鯛類等。昔から「黒潮の幸」とはよく言ったものです。
この魚達の成魚がいつどこへ現れるかを特定しなければいけません。
コルクおやじ