■ロッドホルダー(ロッドポスト)
トローリングの艤装は狙う対象魚によっていくつかのパターンに分類されますが、必ず必要となるものがロッドホルダーです。一般的な釣り竿やリールと比べ、重く大きなトロー リング用のタックルを長時間手に持っているわけにはいきません。
ロッドホルダーはロッドポストともいいますが、その種類にはいろいろなものがあります。サイドデッキなどに埋め込む、強度がもっとも高い埋め込み型。サイドデッキボードなどに付ける横付け型。パルピットなどに付ける装着が簡単なレール用。トランサムデッキのような幅のないところに埋め込む直立型。ロッドの角度が調節できる自在型など。
基本的には強度に優れた埋め込み型のロッドホルダーが望ましいのですが、カツオやワラサなどを狙うライトトローリングの場合は、使用するタックルに合ったロッドホルダーを選べばよいでしょう。
例えば、20Lbや30Lbのライトタックルを使う場合はそれほど大きな荷重はかからないのでレール用や自在型のロッドホルダーでも十分可能です。
しかし、80Lbや50Lbのヘビータックルを使う場合は、埋め込み式のロッドホルダーで、完全なボルト止めをしたものでなくてはいけません。埋め込み式ロッドホルダーはロッドが斜めになるよう後方に60度傾斜しています。レール用や自在型のものを使う場合も同じく60度の傾斜角を基本にすればよいでしょう。
★ロッドホルダーの種類
■アウトリガー
ロッドホルダーはタックル(ロッド)の数だけあればよいのですが、タックルを4本流そうとした場合、それぞれのルアーやラインが絡まないようにアウトリガーが必要になってきます。
ただし、ライトタックルであればダイレクトに流すホルダーが2本、あとの2本は自在型のロッドホルダーを使い、タックルを外側へ左右にそれぞれ張り出して流す方法もあります。この場合はアウトリガーがなくてもOKです。
アウトリガーが装備されていて4本の埋め込み式ロッドホルダーが取り付けられたボートの場合、左右のサイドデッキの前後に2つずつ、ロッドホルダーが取り付けられています。
2つのロッドホルダーが縦に並んだ場合、船首(バウ)側に取り付けられたロッドホルダーは、必ず外側(海側)へ35度から45度傾斜させて取り付けてあります。これは縦に並んだタックルのラインが絡んだり摩擦しないように、ロッドの先端をずらしてあるわけです。
★ ロッドホルダーの取り付け角度
アウトリガーはアウトリガーポールとアウトリガーホルダーに分かれます。アウトリガーを選ぶときは自分のボートの大きさに合ったホルダーを選び、ポールはそのホルダーに使えるものを選びます。
ポールにはワイヤーで四方にトラスを組んだスプレッダータイプと、アルミパイプをつないだもの、そしてFRP製があります。丈夫で長持ちし、安価なのはFRPタイプのポールです。
ここで1つ、アウトリガーについて知っておかなければならないことがあります。
アウトリガーを付けた漁船をよく見かけますが、それぞれの漁船がつけているアウトリガーにはそれなりの理論があります。アウトリガーポールのしなり具合や、海面からの高さはそれぞれの漁具(引き縄)に応じたものになっています。
私たちプレジャーボートの場合は、ロッドとリールを使ってトローリングする人がほとんどです。ロッドとリールを使用する場合、アウトリガーポールはしなりの少ない硬めの方がよいのです。なぜかというと軟らかすぎるとアウトリガーポールがしなり、それによってルアーに余計なアクションがついてしまいます。そしてポールの先端の海面からの高さもある程度必要です。ルアーのアクションは、高い所から引いた場合と低い所から引いた場合に違いが出ます。ポールは海面から40度から50度ぐらいの角度がよいでしょう。
ポールの長さの目安は自分のボートの長さと思ってよいでしょう。自分のボートの引き波の白い泡の一番外側を引ければ十分です。
■その他の艤装品
対象魚をより高い確率で狙おうとするのなら、また安全にトローリングを楽しむために、ほかにもいくつか必要な装備があります。
代表的なものとして、水温計、GPS、魚探、無線があります。広い海の中でのポイント探しは、釣果を左右するとても重要なテクニックです。水温計によって海水の温度が把握できれば、温度に敏感な魚達の居所を知る大きな手助けになります。GPSは常に自船の位置を確認することができます。
黒潮の流速は強い場合4ノットもあり、気づかないうちに流されていたなんてこともあります。またポイントにマーキングしておけば、より早く、確実にポイントにつくことができます。
卜ローリングにおいても海底の形は重要なチェックポイントです。300mくらいの深度表示のある魚探があると大変便利です。
無線はトーナメント出場の場合は必需品です。仲間との情報交換が釣果に明暗を分けることもしばしばあります。この辺は後で詳しく紹介していきます。
小型ボートの場合、スペースが少ないために卜ローリングの艤装品が限定されてしまい、思うようなものを取り付けられないこともあります。しかし、逆にいろいろ工夫することによって自分のスタイルにあった艤装が楽しめます。