ビッグゲーム

1.カジキを釣る

■カジキ釣り in 紀伊水道

  夏の紀伊半島沿岸は、10数年前に勝浦ビルフィッシュトーナメントが行われて以来、「ビッグゲームの本場」として定着し、6~8月いっぱいはカジキ釣り一色になります。今では、勝浦以外にも、串本、すさみ、鳥羽、そしてマリーナシティの和歌山フィッシングトーナメントと、紀伊半島でも5つのビルフィッシュトーナメントが毎年行われています。

思い返せば10数年前、関西で初めてのビッグゲームトーナメントとして、「勝浦ビルフィッシュトーナメント」が行なわれ、初代は『シスター』の大守さんが25フィート艇で見事にカジキを釣って優勝。翌年は『潮風』の大守さん(前出の大守さんの親戚)。このときは『湯山』の湯山さんもカジキをランディングしたのですが、残念ながらリーダーが伸びて規定の9.14メートルをオーバーしてファール。しかし、大会では大守さんも湯山さんも非常に紳士的に対応されたことを、今でも覚えています。 ちなみに、これは日本のビルフィッシュトーナメントにおいて初めてのファールでした。

  というような色々なドラマが展開されつつ、その後は参加ボートも大会自体も着実に大きくなり、今では、前述の紀伊半島の大きな5つのトーナメントに、毎年200チーム以上が参加するようになりました。

トーナメントは、7月から8月に集中して行われますが、例年カジキが釣れ出すのは5月頃。水温が23度を越えて24度ぐらいになると釣れ出しますが、この頃から後は梅雨時になるので天候が安定しません。
やはり本番は、梅雨明けの7月後半。小笠原高気圧がどっかりと座って太平洋全体が凪の状態の紀伊水道は、いつも別世界となります。無線は「ヒット」の連続で、それぞれ水温や位置を確認しあいます。四国や中国、九州から来るボートも多く、いつも土曜日、日曜日には賑わいます。紀伊半島での各トーナメントでは結構カジキの数が多く上がることがあって、2ケタの数があったりカジキを2本釣っても優勝できなかったということもあります。

 ここ10数年来、紀伊半島では黒潮の流軸の位置が潮岬南20マイルあたりに安定してありました。しかし5年ほど前あたりから黒潮の流れが乱れてきました。1998年、1999年の黒潮は紀伊半島に接岸し、大阪湾や瀬戸内海にまで温水が波及をした状態でしたが、2000年は逆に黒潮が離岸。5月のGWの時点では、潮岬南20マイルと遠く、ここ最近、毎年の黒潮の流れは予想のつかない、予断を許さない状況となっています。

それではここで、紀伊水道における例年のカジキ釣りのパターンをご説明します。

 まず、情報の収集に欠かせない、無線についてですが、アマチュア無線の50メガヘルツ帯、周波数は53.12で合わせておけば情報は取れます。紀伊半島でのトーナメントでも、全てではないのですが、圧倒的にこの周波数を使うことが多く、普段の海上での使用も多いのです。

ポイントは、シーズンの初めは、黒潮本流の側沿水域(黒潮本流と沿岸水が接したあたり)。たとえば、潮岬の南10マイルから15マイルあたりが多く、カジキのシーズンが終る9月頃もこのポイントはヒット率が良いようです。

 8月は最もカジキ達が沿岸に近付いて来ます。紀伊水道の奥の方(日ノ御崎付近)で釣れたり、沿岸から3マイル前後のところでも良く釣れます。「スモールボートでカジキを釣ってやろう」とお考えの方はこの時期がチャンスです。この頃は、"瀬付き"になり浅場の瀬や曽根、沿岸から3マイルや5マイルあたりにできる潮目がポイントになります。この時期の水温は、26度あたりまでは水温のできるだけ高いところがいいのですが、場所によっては30度にも達することもあります。こういう場合は、26~28度ぐらいの水温域を探すのが良いでしょう。

 潮目は、いつも同じように、沿岸に並行に3マイル、5マイル、7マイルあたりにできます。時間帯によってはわかりにくい時もありますので、潮目を見失なった際にはボートを岸側へ近づけたり沖へ出していったりしながら潮目を探ります。また、鳥は、潮目の上を飛んで行くことが多いので鳥の動きもよく監察してみましょう。  

■カジキルアーは動きが勝負

紀伊半島におけるカジキルアーの傾向としては、まずシーズン初めは外国製の大型ルアーなどに良くヒットします(年によってはラトルルアーが良い場合もあります)。また、その年によって流行というものがあります。

たとえば、大きなルアー(ヘッドの径が40から50ミリ、タコベイト12号ぐらい) が良くヒットする時や、小さいルアー(ヘッド径が30ミリぐらいまで、タコベイトやイカベイトが8号ぐらい)の方がヒット率が高い時など、これらはすべてその海域のベイトフィッシュの種類によります。

紀伊水道のベイトフィッシュはおもに「イカ」・「サバ」・「アジ」・「ムロアジ」など。瀬付きになると、ベイトフィッシュが小型になるので、ルアーも8号ぐらいの小型のものがヒット率が高くなる傾向にあります。

ルアーの材質は、たとえば2001年は牛の角が良くヒットし、白蝶貝や夜光貝も各トーナメントで高い実績を上げました。これは、その年の天候や水の色、ベイトフィッシュの状況などで刻々と変化します。

ルアーは、素材の善し悪しも大切ですが、やはり一番重要なのはその「動き」。いくら良い素材を使った良いルアーでも、ボートでの流し方、曳き方を間違えて動きが悪ければ「ダメルアー」になってしまいます。釣り場は、シーズン初めは黒潮の側沿水域が良く、これが8月になると高水温域も広がって紀伊水道の奥の方にもカジキが移動。いわゆる「瀬付き」という状態になります。

 流すタックルは、4本から5本。ボートのスピードは、7ノットから9ノットぐらいがほとんどです。ボートスピードは一番大切なことですから、たとえば、すれ違ったボートのスピードが早いからとか、GPSが表示するスピードが遅いからといって、自分のボートのスピードを早めるなんてことはしないでください。自分のボートのスピードは、自分が流しているルアーやティザーの状態を見て決めなければいけません。

4本のルアーを流す場合も5本の場合も、すべてのルアーが一つの魚群を形成するように完全に動かなければいけません。

もちろんベイトフィッシュが弱ってイレギュラーな動きをするのは良いのですが、明らかにゴミが引っかかって異物感を感じる場合などは、カジキはそのボートに近づきません。これはフックにゴミが引っかかっている場合も同じこと。30分から1時間に1度は「ルアーチェック」をしましょう。  

■タックル選びのヒント

 ルアーを流すというのは、一つのバランスゲームです。流す場所は、アウトリガーのロングとショート、ストレートのロングとショート、センターリガーなど。その高さの違いからルアーの動きが変わります。

また、ルアーヘッドの形、重量、そしてボートのスピードでも変化します。ですから、ルアーを購入する場合も、そのルアーの製作者の意図を理解し、自分のボートならばどのポジションにそのルアーを使うかを頭の中で描けるようでなければいけません。

また、タコベイトとイカベイトのどちらが良いか、という話もあります。結論としてはどちらでもOKです。ちなみに、私はルアーの動きを考えてシングルフックを使用しているので、トラブルの少ないイカベイトを多用しています。ベイトの色で迷う方もいますが、イカを除いてベイトフィッシュはすべて2色が原則です。空からの天敵から身を守るため背は青く、また下からの天敵にわかりにくいように、腹はシルバーなのが普通です。

カジキは色盲なので、基本的に2色のコントラストが感じられれば色はその人好みで良いでしょう。  

■状況を良く見て安全に楽しく遊ぼう

紀伊水道のポイントは、本船航路の近くが多く、「ヒット」から、ファイティング、ランディングの際、本船は理解していないので大変危険です。我々は赤いファイティングフラッグを掲げているので分かるのですが……。ですから仲間がファイト中の場合、本船の往来が多い時などは、タックルを片付けて、仲間のファイトのカバーに入るような配慮が必要です。

また、ファイト中のボートや動きがおかしいと思うボートの後を横切ることは決してしないことです。ヒット中のラインを切ってしまうなんて同じアングラーとしてとても悲しいことですから。

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